去年と同じように暮らしているのに、電気代の請求額が上がっている。そう感じる理由は、使い方ではなく料金の仕組みの側にあることがほとんどです。

この記事では、電気代が値上げされる理由を燃料費・補助金・再エネ賦課金・託送料金の4つに分けて整理しました。2026年10月使用分以降に家計へどのくらい影響するかを試算し、となりのインフラに投稿された電気代241件の実額もあわせて紹介します。

電気代が値上げされる理由の結論

電気代の請求額は、基本料金と電力量料金に、燃料費調整額と再エネ賦課金を足し引きして決まります。このうち家庭の努力で動かせるのは使用量だけで、単価に上乗せされる部分は国際情勢や国の制度で決まります。

つまり値上げの理由を知るには、請求額を構成する項目ごとに何が起きているかを見るのが近道です。まず全体像を押さえてから、1つずつ詳しく見ていきます。

値上げの主な原因は4つ

主要な電力会社や比較サイトの解説を横並びにすると、電気代の値上げ理由は大きく4つに整理できます。1つ目は燃料価格と円安による燃料費調整額の上昇、2つ目は国の補助金の終了です。

3つ目は毎年見直される再エネ賦課金の引き上げ、4つ目は送配電網の利用料である託送料金の増額です。どれも電力会社1社の判断ではなく、業界全体に効く要因です。

  • 燃料費調整額の上昇(LNG・石炭などの輸入価格と円安)
  • 国の補助金「電気・ガス料金支援」の終了
  • 再エネ賦課金の単価引き上げ(2026年度は4.18円/kWh)
  • 送配電網の維持費である託送料金の増額

2026年秋に負担が増える背景

2026年の秋は、上の4つのうち複数が同じ時期に重なります。夏の補助金は9月使用分で終わり、10月使用分からは値引きがなくなります。

さらに報道や比較サイトの情報では、送配電各社の託送料金が2026年11月から引き上げられる予定です。中東情勢による燃料価格の動きも数か月遅れで反映されるため、年末にかけて請求額が上がりやすい状況です。

電気代の値上げは「使いすぎ」だけが原因とは限りません。検針票の単価や調整額の欄を見ると、上がった理由のおおよそが分かります。

電気代の値上げ理由1 燃料費調整額

日本の電気はいまも火力発電の割合が大きく、燃料となるLNG(液化天然ガス)・石炭・原油のほとんどを輸入に頼っています。燃料費調整額は、この輸入燃料の価格変動を毎月の電気代に反映させる仕組みです。

燃料が高くなれば1kWhあたりの調整単価が上がり、安くなれば下がります。電気代の値上げを語るときに最も影響が大きいのがこの項目です。

燃料価格と円安の影響

燃料費調整額は、燃料の国際価格だけでなく為替レートにも左右されます。燃料はドル建てで買うため、同じ価格でも円安になれば円での支払額が増えます。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際は燃料価格の高騰と円安が同時に起き、2023年6月には大手電力7社が規制料金を14〜42%値上げしました。2026年は中東情勢の緊迫化が新たな上振れ要因として意識されています。

3〜5か月遅れで反映される仕組み

燃料費調整額は、3〜5か月前の燃料輸入価格の平均をもとに算出されます。そのため燃料価格が上がったニュースを見た月ではなく、数か月後の請求で値上がりを実感することになります。

逆に燃料価格が下がっても、すぐには電気代に反映されません。大手電力会社の規制料金には調整額の上限がありますが、自由料金や多くの新電力には上限がない点も覚えておきたいところです。

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電気代の値上げ理由2 補助金の終了

2023年以降、国は電気・ガス料金の補助を実施と終了を繰り返しながら続けてきました。補助がある月は1kWhあたり数円が自動的に値引きされるため、補助が終わると単価がそのまま上がったように見えます。

電気代が急に上がったと感じるタイミングの多くは、この補助の終了と重なっています。2026年の補助のスケジュールを確認しておきましょう。

10月使用分から値引きがなくなる

2026年は、1〜3月使用分に冬の補助、7〜9月使用分に夏の補助が実施されました。夏の補助の値引き単価は、低圧の家庭向けで7月使用分が3.5円、8月使用分が4.5円、9月使用分が3.5円(いずれも1kWhあたり)です。

10月使用分(11月検針)からは補助がなくなるため、使用量が同じでも請求額は上がります。延長の有無は国の発表を確認してください。

使用月(2026年)値引き単価(低圧)260kWh使用時の値引き額
1月・2月4.5円/kWh1,170円
3月1.5円/kWh390円
4〜6月補助なし0円
7月3.5円/kWh910円
8月4.5円/kWh1,170円
9月3.5円/kWh910円
10月以降補助なし(執筆時点)0円

補助の有無で変わる請求額

補助の終了による値上がり幅は、単純に「値引き単価×使用量」で見積もれます。9月使用分と同じ量を10月に使った場合、260kWhの家庭なら910円、400kWhの家庭なら1,400円ほど請求額が増える計算です。

実際には季節によって使用量も変わるため、冷房が減る10月は上がり幅が小さく見えることもあります。冬の暖房シーズンに使用量が増えると、補助がない分だけ負担が大きく感じられます。

電気代の値上げ理由3 再エネ賦課金と託送料金

燃料費と補助金に比べると目立ちませんが、再エネ賦課金と託送料金はじわじわと電気代を押し上げている項目です。どちらも使用量1kWhごとにかかる費用で、電力会社を変えても基本的には避けられません。

毎年または数年ごとに国の審査を経て見直されるため、一度上がると下がりにくい性質があります。それぞれの仕組みと最新の単価を見ていきます。

再エネ賦課金は過去最高の4.18円

再エネ賦課金は、太陽光や風力でつくられた電気を電力会社が買い取る費用を、電気の利用者全員で負担する仕組みです。単価は国が年度ごとに決め、2026年度(2026年5月検針分〜)は1kWhあたり4.18円と、制度開始以来の最高水準になりました。2023年度は市場価格の高騰で1.40円まで下がりましたが、その後は再び上昇しています。

年度単価(1kWhあたり)260kWh使用時の月額
2023年度1.40円364円
2024年度3.49円907円
2025年度3.98円1,035円
2026年度4.18円1,087円

11月から託送料金が上がる予定

託送料金は、発電所から家庭まで電気を届ける送配電網の利用料で、電気代の中に含まれています。比較サイトの情報によると、送配電8社の託送料金が2026年11月から引き上げられる予定で、東京電力パワーグリッドのエリアでは1kWhあたり約1.07円の増額です。

老朽化した設備の更新や災害対策の費用が背景にあります。小売電気事業者がどの程度料金に反映するかは会社ごとに異なるため、契約先のお知らせを確認してください。

  • 託送料金は大手電力でも新電力でも同じように負担する
  • 増額幅はエリアによって異なる(北海道・東北・沖縄は大きめ)

電気代の値上げで家計に出る影響額

ここまでの理由を、世帯ごとの金額に置き換えてみます。月々の使用量は住まいや家族構成で大きく違うため、同じ値上げでも負担の増え方は変わります。

以下の試算は、補助がなくなった分と託送料金の増額分(東京電力エリアで全額が料金に反映された場合)を足した目安です。実際の料金は契約プランによって異なるため、あくまで規模感をつかむための数字として見てください。

世帯タイプ別の負担増の目安

使用量を単身180kWh、2人暮らし300kWh、ファミリー400kWhと仮定して計算しました。9月使用分と比べると、補助の終了だけで単身は約630円、ファミリーは約1,400円の負担増です。

託送料金の増額が全額転嫁されれば、さらに200〜400円ほど上乗せされます。月1,000〜2,000円の差でも、年間では1万円を超える規模になります。

世帯タイプ想定使用量補助終了の影響託送料金の影響合計の目安
単身180kWh+630円+193円約+820円
2人暮らし300kWh+1,050円+321円約+1,370円
ファミリー400kWh+1,400円+428円約+1,830円

投稿241件で見る電気代の実額

となりのインフラに投稿された241件の電気代を世帯タイプ別に集計すると、平均は単身5,544円、2人暮らし8,719円、ファミリー12,566円でした。大手電力会社と新電力で比べると、ファミリーでは新電力の平均が12,260円と、大手の12,851円より約590円低くなっています。単身の最安は福岡県のLooopでんき利用者で月3,600円でした(投稿ID fukuoka-1r-1)。

世帯タイプ件数平均月額大手電力の平均新電力の平均
単身78件5,544円5,588円5,497円
2人暮らし80件8,719円8,793円8,618円
ファミリー83件12,566円12,851円12,260円
投稿データは利用者が入力した月額で、季節や使用量によって変わります。ご自身の検針票と比べる際の目安としてお使いください。

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電気代の値上げに備える対策

値上げの理由の多くは家庭では止められませんが、影響を小さくする方法はあります。効果が大きい順に、契約の見直し、基本料金の見直し、使い方の見直しの3段階で考えると整理しやすくなります。

一度手続きすれば効果が続くものから始めると、手間に対する効果が大きくなります。請求額が上がったときは、先に前年同月の使用量(kWh)と比べ、使い方の変化による増加でないかも確認しておきましょう。

電力会社とプランの見直し

燃料費調整額や再エネ賦課金はどの会社でもかかりますが、基本料金と電力量料金の単価は会社ごとに違います。使用量の多い世帯ほど単価差の影響が大きく、投稿データでもファミリー世帯で大手と新電力の差が最も開いていました。

スマホやネットとのセット割を含めて比べると、単体の料金表より差が大きくなる場合があります。乗り換え前には燃料費調整額の上限の有無と解約金も確認しておきましょう。

  • 基本料金と1kWhあたりの単価を今の契約と比べる
  • 燃料費調整額に上限があるか、市場連動型でないかを確認する
  • スマホやネットとのセット割の条件を確認する
  • 解約金や最低利用期間の有無を確認する

契約アンペアと家電の使い方

大手電力会社の従量電灯プランでは、契約アンペアが大きいほど基本料金が高くなります。一人暮らしで40A以上の契約になっている場合は、30Aに下げるだけで月数百円安くなることがあります。

家電ではエアコンと冷蔵庫の消費電力が大きく、フィルター掃除や設定温度の見直しでも使用量は減らせます。10年以上前の冷蔵庫やエアコンは、買い替えで使用量が大きく下がる場合もあります。

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電気代の値上げに関するよくある質問

電気代の値上げについて、読者からよく寄せられる疑問をまとめました。料金や制度は変更される可能性があるため、ここでの回答は執筆時点(2026年9月)の情報にもとづく目安です。

具体的な料金や補助の予定は、契約している電力会社や経済産業省・資源エネルギー庁の公式発表で確認してください。気になる項目から読んでみてください。

電気代の値上げは今後も続きますか

燃料価格や為替は予測が難しく、下がる月もあります。ただし再エネ賦課金は高い水準が続いており、託送料金の増額も予定されているため、補助がない状態の電気代が大きく下がる材料は多くありません。

当面は値上げを前提に、契約と使い方を見直しておくのが現実的です。値下がりした場合も、見直した分はそのまま家計の余裕になります。

新電力に変えれば値上げを避けられますか

燃料費調整額、再エネ賦課金、託送料金は新電力でもかかるため、値上げの影響を完全に避けることはできません。変えられるのは基本料金と電力量料金の単価で、ここが今の契約より安ければ負担を抑えられます。

一方で、燃料費調整額に上限がないプランや市場連動型のプランは、燃料高騰時に大手より高くなることもあります。料金の仕組みまで確認したうえで選ぶことが大切です。

補助金は「あればうれしい一時的な値引き」です。補助がない月の料金を基準に、契約を見直しておくと安心です。

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まとめ

電気代が値上げされる主な理由は、燃料価格と円安による燃料費調整額の上昇、補助金の終了、再エネ賦課金の引き上げ、託送料金の増額の4つです。2026年は10月使用分から補助がなくなり、11月からは託送料金の増額も予定されているため、年末にかけて請求額が上がりやすくなります。投稿データでは、世帯人数が多いほど電力会社による差が開く傾向も見られました。

家庭でできる対策は、電力会社とプランの見直し、契約アンペアの確認、家電の使い方の見直しです。料金や制度は変わることがあるため、最新の料金と条件は各社の公式サイトで確かめてください。