VDSLとは、マンションの共用部までは光ファイバー、そこから各部屋までは既存の電話線を使ってインターネットをつなぐ配線方式です。最大速度は下り100Mbpsが上限で、光回線を契約していても1Gbpsは出ません。

この記事では、VDSLと光配線・LAN方式の違い、自宅がVDSLかどうかの見分け方、遅いときの対処法を順番に整理しました。となりのインフラに投稿された241件のネット代から、集合住宅での月額の目安も紹介します。

VDSLとはマンションの光回線の配線方式

マンションで光回線を使う場合、電柱から建物の共用部(MDF室など)までは光ファイバーで引き込み、共用部から各部屋までを何で配線するかによって方式が分かれます。VDSLはこの建物内の区間に、もともと設置されている電話線を流用する方式です。

光ファイバーを各部屋まで新たに通す工事が不要なため、築年数の長いマンションを中心に今も多く残っています。まずは仕組みと速度の上限を押さえておきましょう。

VDSLの仕組みと正式名称

VDSLは「Very high-bit-rate Digital Subscriber Line」の略で、日本語では超高速デジタル加入者線と呼ばれます。共用部に置かれた集合装置で光信号を電気信号に変換し、電話線を通して各部屋へ届ける仕組みです。

部屋の中では、電話線の差し込み口にVDSLモデム(宅内装置)をつなぎ、そこからルーターやパソコンへ接続します。光回線の契約名は「マンションタイプ」でも、部屋の手前だけは電話線という点が特徴です。

  • 電柱から建物の共用部までは光ファイバー
  • 共用部から各部屋までは既存の電話線(メタル線)
  • 部屋ではVDSLモデムを経由してルーターへ接続

最大速度は下り100Mbps

VDSL方式の通信速度は、多くの回線事業者で下り最大100Mbps、上り最大50〜100Mbps程度とされています。光配線方式の最大1Gbpsと比べると、理論上の上限は10分の1です。

実際の速度は上限より下がることが多く、夜間は数十Mbps程度になるという声もあります。動画やWeb会議は1台なら使える水準ですが、家族で同時に使うと物足りなくなりがちです。

VDSLの「最大100Mbps」は電話線区間の上限です。プロバイダーを1ギガや10ギガのプランに変えても、この上限は変わりません。

VDSLと光配線・LAN方式の違い

マンションの光回線には、VDSL方式のほかに光配線方式とLAN方式があります。どれも共用部までは光ファイバーを使う点は同じで、違いは共用部から各部屋までの配線にあります。

配線方式は建物ごとに決まっているため、同じ回線事業者と契約しても住む建物によって最大速度が変わります。まずは3つの方式の特徴を比べてみましょう。

3つの配線方式の比較

光配線方式は各部屋まで光ファイバーを通すため、戸建てと同じく最大1Gbps(対応プランなら10Gbps)を狙えます。LAN方式は共用部から各部屋までLANケーブルで配線する方式で、最大100Mbpsの建物と1Gbpsの建物があります。

VDSL方式は電話線を使うため、3つの中で最も速度の上限が低くなります。一方で建物側の工事負担が小さく、古い物件でも導入しやすいという事情から採用されてきました。

配線方式共用部から部屋まで最大速度の目安部屋の差し込み口
光配線方式光ファイバー1Gbps〜10Gbps光コンセント
LAN方式LANケーブル100Mbps〜1GbpsLANの差し込み口
VDSL方式電話線下り100Mbps電話の差し込み口

ADSLとVDSLの違い

名前が似ているADSLは、電話局から自宅までのすべてを電話線でつなぐサービスで、最大速度は下り50Mbps程度でした。VDSLは建物の手前まで光ファイバーを使い、電話線の区間を建物内の短い距離に限っている点が大きく違います。

なお、NTT東西のフレッツ・ADSLは2023年1月にサービスを終了しています。VDSLは光回線の一部として提供されているため、ADSLのように終了する予定は執筆時点では発表されていません。

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VDSL方式の見分け方

自宅がVDSL方式かどうかは、専門的な機器がなくても部屋の中を見れば判断できることがほとんどです。回線を新しく申し込む前や、速度に不満があるときは、まず今の配線方式を確かめておきましょう。

壁の差し込み口やルーターの手前にある宅内装置を見て、分からなければ管理会社に聞くのが近道です。宅内装置に「VDSL」と書かれていれば、その時点でVDSL方式と判断できます。

壁の差し込み口の確認

ルーターにつながるケーブルをたどり、壁のどの差し込み口に挿さっているかを見ます。電話線と同じ細いモジュラージャックに挿さっていて、「TEL」と表記されていればVDSL方式の可能性が高いです。

「光コンセント」や「光」と書かれた差し込み口があれば光配線方式、LANケーブルの差し込み口であればLAN方式です。賃貸の場合は入居時の設備説明書に記載されていることもあります。

管理会社や回線事業者への問い合わせ

差し込み口や装置を見ても分からない場合は、管理会社や大家さん、分譲なら管理組合に問い合わせるのが確実です。建物にどの回線事業者の設備が入っていて、どの方式かを教えてもらえます。

回線事業者の公式サイトでは、住所を入力すると提供可能な方式を確認できるページもあります。検索結果に「VDSL」や「マンションタイプ(VDSL)」と表示されれば、その建物はVDSL方式です。

  • 壁の差し込み口が「TEL」表記の電話用ジャック
  • 宅内装置に「VDSL」と書かれている
  • 管理会社や公式サイトの提供エリア検索で確認できる

VDSLが遅い理由

VDSLが遅いと感じる原因は、1つではありません。電話線という通り道の太さそのものに加えて、同じ建物の住人との共有や、配線の状態も速度に影響します。

原因によって打てる対策が変わるため、夜だけ遅いのか、一日中遅いのかを切り分けの手がかりにしてください。一日中なら電話線の上限、夜だけなら混雑を疑うのが基本です。

電話線区間の速度上限

電話線はもともと音声通話のために敷設された銅線で、光ファイバーほど大量のデータを高速に送れません。そのため、どれだけ速い光回線を契約しても、部屋の手前で最大100Mbpsに絞られてしまいます。

一日中遅いと感じる場合の主な理由がこれです。機器の交換では越えられないため、根本的に変えるには配線方式を変える必要があります。

住戸間での回線共有

マンションの光回線は、共用部まで引き込んだ1本の光ファイバーを複数の部屋で分け合って使うのが一般的です。在宅ワークや動画視聴で利用者が増える夜間や休日は、1部屋あたりに使える帯域が小さくなります。

夜だけ極端に遅くなる場合は、この共有やプロバイダー側の混雑が原因として考えられます。プロバイダーの接続方式を変えると改善することがあります。

VDSLの速度を改善する方法

VDSLの上限である100Mbpsは変えられませんが、実際に出ている速度が上限を大きく下回っているなら改善の余地があります。費用のかからない方法から順に試すのがおすすめです。

ここでは、部屋の中で完結する対策と、プロバイダー側の設定変更、建物全体の工事に関わる方法の3段階に分けて紹介します。上から順に手間と費用が大きくなります。

有線接続とルーターの見直し

Wi-Fiで接続している場合、ルーターと端末の距離や壁、電子レンジなどの干渉で速度が落ちている可能性があります。パソコンやテレビはLANケーブルで有線接続すると、VDSLの上限に近い速度を引き出しやすくなります。

ルーターが古い場合は、Wi-Fi 5(11ac)以上に対応した機種への買い替えも効果的です。2.4GHzから5GHzの周波数帯に切り替えるだけで安定することもあります。

  • パソコンやテレビはLANケーブルで有線接続する
  • ルーターを床から離し、部屋の中央寄りに置く
  • Wi-Fi 5以上に対応したルーターに買い替える

IPv6(IPoE)への切り替え

夜だけ遅い場合は、プロバイダーの接続方式をIPv6(IPoE)に切り替えると改善することがあります。従来のPPPoE方式は、利用者が集中する時間帯にプロバイダー側の設備で混雑が起きやすいためです。

IPoEは多くのプロバイダーで無料で申し込めますが、対応ルーターが必要になる場合があります。ただしVDSLの100Mbpsという上限そのものは変わらないため、混雑対策として考えるのが適切です。

光配線方式への変更相談

根本的に速度を上げたい場合は、建物の配線を光配線方式へ変更する方法があります。ただし共用部の工事になるため、賃貸ならオーナー、分譲なら管理組合や理事会の承認が必要で、個人の判断では進められません。

回線事業者によっては、建物内で一定数の契約見込みがあることを工事の条件にしています。同じ悩みを持つ住人が他にもいると伝えると、検討してもらいやすくなります。

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VDSLのマンションで選ぶ回線と月額

VDSLの建物に住んでいる場合、選択肢は大きく3つあります。今のVDSLのまま使い続ける、戸建てタイプの光回線を部屋に直接引き込む、工事不要のホームルーターに切り替える、のいずれかです。

どれを選ぶかは、必要な速度と月額のバランスで決まります。となりのインフラに投稿された実際のネット代から月額の目安を整理しました。

投稿データで見る月額の目安

となりのインフラに投稿された241件のネット代を住居タイプと回線の種類で分けると、集合住宅(1R〜2LDK)で光回線を使っている154件の平均は月4,429円でした。戸建てで光回線を使っている43件の平均は月5,737円で、約1,300円の差があります。

集合住宅でホームルーターなどの無線回線を使っている37件の平均は月4,245円で、光回線のマンションタイプとほぼ同水準です。料金は契約時期やキャンペーンで変わるため、あくまで目安として参考にしてください。

住居と回線の種類投稿件数平均月額
集合住宅(1R・1K)の光回線34件3,474円
集合住宅(1LDK)の光回線54件4,149円
集合住宅(2LDK〜)の光回線66件5,151円
集合住宅のホームルーターなど37件4,245円
戸建ての光回線43件5,737円

戸建てタイプの個別引き込み

建物全体の配線を変えられなくても、自分の部屋にだけ光ファイバーを引き込む「戸建てタイプ(ホームタイプ)」で契約できる場合があります。電柱から直接部屋へ引き込むため、VDSLの100Mbpsの上限を受けません。

ただし外壁への穴あけや配管の利用が必要になることが多く、賃貸ではオーナーの許可が欠かせません。月額も上の集計のとおりマンションタイプより1,000円以上高くなりやすいため、速度にその差額を払う価値があるかで判断しましょう。

ホームルーターという選択肢

工事ができない、または費用をかけたくない場合は、コンセントに挿すだけで使えるホームルーターも候補になります。5G対応エリアでは、時間帯によってはVDSLより速度が出ることもあります。

一方で電波状況に左右されるため、部屋の位置によってはVDSLより遅くなる可能性もあります。端末代の残債なども含め、公式サイトで条件を確認してから決めましょう。

VDSLのまま使うか、戸建てタイプやホームルーターに変えるかは、必要な速度と月額の差額で考えると判断しやすくなります。

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まとめ

VDSLとは、マンションの共用部から各部屋までを電話線でつなぐ配線方式で、最大速度は下り100Mbpsが上限です。壁の差し込み口が「TEL」表記か、宅内装置に「VDSL」と書かれているかで見分けられます。

遅いと感じたら、まず有線接続やルーターの見直し、IPv6(IPoE)への切り替えを試してみてください。それでも足りない場合は、管理会社への光配線化の相談や、戸建てタイプの引き込み、ホームルーターへの切り替えを月額の差と合わせて検討するのがおすすめです。